臨床検査技師 しばしん

本や論文の内容、個人的な意見・考察を投稿します

バイオロボットが開発される。 ~物質の運搬・自己再生を行う~

バイオロボットが開発される。 ~物質の運搬・自己再生を行う~

 

参考文献

A scalable pipeline for designing reconfigurable organisms | PNAS
https://www.pnas.org/content/early/2020/01/07/1910837117

Team Builds the First Living Robots | UVM Today | The University of Vermont
https://www.uvm.edu/uvmnews/news/team-builds-first-living-robots

Scientists use stem cells from frogs to build first living robots | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2020/jan/13/scientists-use-stem-cells-from-frogs-to-build-first-living-robots

 

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SF漫画や映画などでナノロボットが体を治療を治療するシーンを見たことがある人もいるかと思いますが、ジョッシュ・ボンガード氏と、タフツ大学の生物学者マイケル・レビン氏らの研究グループがカエルの胚の細胞から再構成された生きたロボット「Xenobot(ゼノボット)」を開発したことが明らかになりました。

このxenobot(ゼノボット)は人体内の患部に薬剤を輸送したり、血管内に蓄積された老廃物を除去して動脈硬化を防いだりすることができると期待されています。

 

研究グループは生きた「皮膚細胞」と「心筋細胞」をどのような形状や構造で組み立てれば効率的な運動が可能なのかを独自の「進化アルゴリズム」に基づいたシミュレーションを実施し、数千種類のデザイン候補の中から選び出しました。

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そして、アフリカツメガエルの生きた胚から幹細胞を採取して培養し、極小サイズのピンセットと電極を使用して細胞を成形し、デザイン通りのロボットを製造しました。

 


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研究グループの一人であるボンガード氏によると、多くのロボットは金属、コンクリート、プラスチックで作られているため人体に有害ですが、生きている細胞であれば、活動が終われば分解されるため、人体や環境への負荷が低いとのことです。

今後、研究グループは高度なXenobotの開発をするだけでなく、Xenobotを分析することで生物の成り立ちを解明し、癌や先天性欠損、加齢性疾患などへの理解を踏めていくということです。

 

また、オックスフォードの倫理センターの研究開発部量のトーマス・ダグラス氏はXenobotの研究は今後、『生きたロボットは生物なのか機械なのか?』という難しい問題に直面する事でしょう」と回答し、倫理的な課題は避けられないことを示しました。

 

関連文献

Scientists Have Created Nanorobots That Can Travel Down the Bloodstream and Precisely Target Cancerous Tumors
http://sciencenewsjournal.com/scientists-created-nanorobots-can-travel-bloodstream-precisely-target-cancerous-tumors/

 

<ブログ著者の感想>

細胞はある種の機械仕掛けのロボットという考え方ができると思ったし、合成生物学、バイオインフォマティクスの観点から新たなロボット(細胞)を作り出し、治療や人体改造などに応用していく可能性があるなあと思いました。