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オリゴデンドロサイト前駆細胞の老化プロセス
参考文献
Niche stiffness underlies the ageing of central nervous system progenitor cells | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1484-9
Scientists reverse aging process in rat brain stem cells -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/08/190814130726.htm
多発性硬化症について
ケンブリッジ大学のWellcome Trust-MRC幹細胞研究所に勤めるKevin Chalut氏らの研究チームは恒例のラットから硬化したOPC(オリゴデンドロサイト前駆細胞)を取り出し、若いラットの脳組織に移植したところ、硬化したOCPが元の柔軟性を取り戻し、若い細胞のように活発に分裂し始めたとのことです。
さらに、研究チームは若いラットの脳組織と同じ柔軟性のある素材と、老いたラットの脳組織と同様に柔軟性を欠いた素材を開発して、2つの素材の上でOPCを培養すると、若いOPCであっても硬い素材の上で培養すると分裂能は喪失することが分かりました。
また、OPCからPIEZO1蛋白をを除去し硬い素材の上で培養したところ、若い素材の上で培養した時と同様に分裂することが分かりました。
*PIEZO1蛋白は周囲組織が柔らかいか、硬いかを検知するたんぱく質です。
下記のサイト情報によるとPIEZO1蛋白は細胞内の液圧変化を検知するようです。
piezo1について
すなわち、高齢のOPCであったとしても、周囲環境(若者のように柔らかいか、高齢者のように硬いか)に応じて分裂性を有するということです。
<ブログ著者の感想>
細胞がPIEZO1のようなイオンチャネルを介して周囲組織を検知し分裂するかどうかを決定するという知見は興味深いと思いました。どのようなメカニズムで細胞外環境を検知して、細胞分裂を決定するかという詳細を知る必要性を感じました。